あぐらで座れない人へ。座ることから始めるヨガ

はじめての方へ

明るい部屋の木の床に、窓からの光を受けて静かに座る人

瞑想や呼吸法をやってみたいと思って床に座ってみたものの、あぐらがうまく組めない。膝が浮き、背中が丸まり、数分もすると座っていること自体がつらくなる。この記事は、そんなふうに「座る」段階で止まっている人に向けて書いています。

先にお伝えしたいこと

あぐらで座れない人を見て、私がまず思うのは、股関節の可動域と足首を柔らかくすることがとても大事だということです。

そして、骨盤をまっすぐ立てて座れるようになると、そこから身体はどんどん柔らかくなっていきます。

だから最初にやることは、無理をせずに、股関節の可動域を広げ、足首を伸ばしてみること。座れないのは欠点ではなく、股関節と足首の話です。私はそう考えています。

座れないのは、股関節と足首の話

あぐらが組めないと、「自分は身体が硬いから、ヨガに向いていない」と感じてしまう人が多いようです。けれど私は、座れないことをその人の向き不向きの問題だとは思っていません。

あぐらは、脚を外側に開いて、膝を曲げ、足首を内側に返す姿勢です。一般的に、この形をとるには股関節が外に開く動きと、足首が柔らかく曲がる動きの両方が必要だと言われています。どちらかに硬さがあると、膝が高く浮いたり、足首の外側が床に当たって痛んだりして、座り続けるのが難しくなります。

つまり、座れないという現象の手前には、股関節と足首という具体的な場所があります。「身体が硬い」という漠然とした言葉で自分を片づけてしまう前に、どこが動きにくいのかを見てみる。それだけで、取り組むことがずいぶんはっきりしてくるはずです。

股関節も足首も、日常生活の中で大きく動かす機会が少ない場所だと言われています。椅子に座り、靴を履いて歩く暮らしでは、床に脚を開いて座る姿勢をとること自体があまりありません。動かしていない場所が動きにくくなるのは、自然なことだと私は思います。

足首は、見落とされやすい入り口

木の床の上、ヨガマットのそばに立つ裸足の足元

あぐらで座れないとき、多くの人は股関節や太ももの硬さに目を向けます。それも大切ですが、私は足首も同じくらい大事だと思っています。

あぐらでは、足の甲や外くるぶしのあたりが床に触れます。足首が硬いと、この部分に体重がかかって痛みが出やすく、座っていること自体がつらくなると言われています。股関節が開いても、足首でつまずいてしまう。そういう座り方は少なくないように感じています。

足首は、座っている時間だけでなく、立つ・歩くといった日々の動きの土台にもなる場所です。ヨガのポーズの中でも、足の裏で床を感じることはよく大切にされます。足首を伸ばしておくことは、座るためだけでなく、根を下ろすように立つための準備にもなると私は考えています。

骨盤を立てて座る、ということ

股関節と足首の次に私が大事にしているのが、骨盤をまっすぐ立てて座ることです。

骨盤が後ろに倒れると、背中は丸まり、頭が前に出て、呼吸も浅くなりやすいと言われています。反対に、骨盤が立つと、背骨がその上に自然に積み重なるように伸び、上半身の重さを骨で支えやすくなるとされています。

私が見ていて感じるのは、骨盤をまっすぐ立てて座れるようになると、そこからどんどん柔らかくなっていくということです。座る姿勢そのものが、股関節や足首にとって無理のない範囲の刺激になっているのかもしれません。座れるようになるから柔らかくなる。柔らかくなるから、また座りやすくなる。そういう循環が生まれるように見えています。

ここで大事なのは、最初から完璧なあぐらを目指さないことです。骨盤を立てることが目的であれば、あぐらの形にこだわる必要はありません。お尻の下にたたんだブランケットやクッションを一枚入れるだけで、骨盤は立ちやすくなると言われています。膝が床から浮いていても構いません。形よりも、骨盤が立っているかどうか。私はそちらを先に見ます。

無理をしないこと

もう一つ、どうしてもお伝えしておきたいのは、無理をしないということです。

股関節の可動域を広げたいと思うと、つい強く押したり、反動をつけて開いたりしたくなります。けれど、痛みをこらえて伸ばしても、身体は守ろうとしてかえって固くなることがあると言われています。

膝や股関節、足首に痛みがある場合は、無理をしないでください。痛みが続くときや、もともと関節に不安があるときは、身体の状態をよく知る専門家に相談した上で進めるのが安心だと思います。

可動域は、急に広げるものではなく、少しずつ距離を取っていくものだと私は考えています。昨日より少しだけ膝が下がった、少しだけ長く座っていられた。そのくらいの変化を、ゆっくりと見ていくのがちょうどいいように思います。

座ることは、ヨガの伝統の真ん中にあった

ヨガのポーズを指す「アーサナ」は、サンスクリット語で、もともと「座」や「座ること」を意味する言葉だと言われています。

紀元前後から数世紀の間にまとめられたとされる『ヨーガ・スートラ』では、アーサナについて「安定していて、快適であること」という趣旨の短い一節が残されていると伝えられています。今のように多くのポーズが体系化されたのは後の時代のことで、伝統的には、瞑想のために長く静かに座っていられる姿勢を整えることが、アーサナの中心にあったと考えられています。

そう考えると、座ることでつまずいている人は、ヨガの入り口から遠いところにいるわけではありません。座れないことを恥ずかしく思う必要はなく、そこから始めればいい。安定していて、快適であること。それはあぐらの形が整っていることとは、少し違う話です。

自宅でできる最初の一歩

道具は特に要りません。床と、たたんだブランケットかクッションが一枚あれば始められます。

  1. 足首をまわして、伸ばす
    床に脚を伸ばして座り、片方の足首をもう片方の太ももの上に軽くのせます。手で足先を持ち、ゆっくりと大きく回します。そのあと、足の甲を伸ばすように、足先をやさしく下へ向けます。左右とも、呼吸を止めずに。

  2. 股関節をゆっくり開く
    両足の裏を合わせて座り、膝を左右に開きます。膝を手で押し下げる必要はありません。息を吐ききるたびに、膝が自然に少し下がるのを待つくらいで十分です。

  3. 骨盤を立てて座ってみる
    お尻の下にブランケットやクッションを入れ、あぐらでも、脚を軽く組むだけでも構わないので座ってみます。お尻の下の骨が座面に当たっている感覚を探し、その上に背骨を積むように座ります。まずは数回、呼吸を数えるあいだだけで構いません。

どれも、痛みが出たらそこでやめてください。

最後に

座ることは、瞑想や呼吸法の手前にある、地味な段階に見えるかもしれません。けれど、骨盤を立てて静かに座れるようになることは、その先にあるものすべての土台になります。股関節と足首に少しずつ時間を使ってみる。そこからで十分です。

ここまで読んで、自分の座り方がどうなっているのか、一人ではよく分からないと感じた方もいるかもしれません。人に見られながら床に座るのは気が引ける、という気持ちも自然なものだと思います。

最初の一回は、画面を見ているだけでも構いません。オンラインで、自分の家の中で、誰の視線にも晒されずに、ヨガがどんなものかを知ることができます。free-yoga-japan.com から登録できます。


画像: Pexels

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