ヨガに興味はある。けれど、もう若くないし、今さら始めても遅いのではないか。年齢を理由に、最初の一歩を迷っている方に向けて、この記事を書いています。
先に、私の考えを置いておきます。何歳から始めても、遅くないと私は思っています。理由は単純で、今こうして生きている今日が、これから先の人生のなかで一番若い日だからです。明日の自分から見れば、今日の自分はいつも一日若い。始めるのに適した年齢を探すなら、それは今日以外にありません。
今日が、これからで一番若い日
年齢を気にして何かを始められないとき、私たちはたいてい、過去の自分と今の自分を比べています。十年前なら身体も柔らかかった、もっと体力もあった。そう考えると、今の自分がずいぶん遅れて出発するように感じられます。
けれど、過去の自分に戻ることはできません。比べられる相手として現実にいるのは、これから先の自分だけです。五年後の自分、十年後の自分から振り返れば、今日の自分はまだ若い。私はこの見方を、年齢の話をするときの出発点にしています。
これは気休めの言葉ではなく、時間の向きについての事実だと私は考えています。昨日より若い日は来ませんが、今日より若い日も、もう来ません。だとすれば、迷っている時間そのものが、一番若い日を少しずつ使っていることになります。
「あの時始めていれば」は、始めない限り続く
もうひとつ、私が大事にしている考えがあります。「あの時始めていれば良かった」という思いは、始めない限り、これから先もずっとまとわりつくものだということです。
この後悔は、時間が経てば薄れるものではないと私は感じています。むしろ、年齢を重ねるほど「あの時」が増えていきます。三年前に始めていれば、去年始めていれば、と。始めない理由に年齢を使い続けると、その理由は毎年少しずつ強くなっていきます。
逆に言えば、今日始めれば、この後悔はそこで止まります。始めた日から先は、「あの時始めていれば」ではなく、「あの時始めて良かった」と振り返る側に回れる。私はこの違いが、とても大きいと思っています。
体を使うことは、一生の課題だと思っています
私は、体を使うこと、体が健やかであることは、人が一生向き合っていく課題だと思っています。
仕事が変わっても、暮らす場所が変わっても、自分の体とはずっと一緒です。若いうちは意識しなくても動いてくれた体も、いつかは手をかけなければ思うように動かなくなります。そのときになって初めて向き合うより、もう少し手前から付き合い方を知っておいた方がいい。それが私の考えです。
ヨガは、その付き合い方のひとつです。体を大きく動かして鍛えるというより、呼吸に合わせてゆっくりと動き、自分の体が今どんな状態にあるかを知る時間。身体が硬くても、動きが小さくても、その日の自分の体を観察することから始められます。

早いうちから、時間と体への投資を
私はこれを「投資」という言葉で考えています。ここで言う投資は、お金の話ではありません。自分の時間と体に対する投資です。
週に何回か、短い時間でも体と呼吸に意識を向ける。その積み重ねは、すぐに目に見える形では返ってこないかもしれません。けれど、体との付き合い方を知っている状態で年齢を重ねるのと、知らないまま重ねるのとでは、その先の日々の過ごし方が少し違ってくると私は感じています。
投資である以上、始めるのは早い方がいい。そして、すでに書いたとおり、これから先の人生で一番早いのは今日です。だから私は、年齢を理由に迷っている方にこそ、早いうちから始めることを考えてみてほしいと思っています。
年齢を重ねてから始めるときに、心に置いておきたいこと
とはいえ、始めるときには気をつけたいこともあります。年齢に関わらず、体の状態は人によって大きく違います。
まず、無理のない範囲で行うこと。ヨガのポーズには、写真や動画で見ると美しい完成形がありますが、それを目指す必要はありません。少し伸びていると感じるところで止めて、呼吸を続けられるかどうかを目安にするのがいいと私は考えています。
次に、他人と比べないこと。オンラインでもスタジオでも、隣の人の体がどれだけ曲がるかは、自分の練習とは関係がありません。比べる相手がいるとすれば、昨日の自分くらいです。
もうひとつ、続け方は小さくていいということ。最初から長い時間を確保しようとすると、それ自体が負担になります。数分でも、週に一度でも、体と呼吸に意識を向ける時間があれば、それはもう始まっています。量よりも、やめずに戻ってこられることの方が、長い目で見れば大事だと私は考えています。
そして、持病や痛みがある場合、体調に不安がある場合は、始める前にかかりつけの医師に相談してください。ヨガが年齢に関わらず安全だと、私が言い切ることはできません。自分の体を知ることがヨガの入り口だとすれば、医師に相談することもまた、その一部だと思います。
ヨガは、年齢で区切られてきたものではない
ヨガには、2500年ほどの歴史があると言われています。その長い伝統のなかで、ヨガは体の柔らかさや若さを競うものとして伝えられてきたわけではありません。
古代インドには、人の一生をいくつかの時期に分けて考える伝統があったとされています。学ぶ時期、家庭を営む時期を経て、人生の後半に入ってから、より内面に向かう時期が訪れる、という考え方です。その解釈には諸説ありますが、少なくとも、内側に向き合う営みを若い人だけのものとは見ていなかったことがうかがえます。
ヨガの経典で語られる目的も、ポーズの完成ではなく、心の動きを静めることだと言われています。そう考えると、年齢を重ねたことで、かえって見えてくるものもあるのかもしれません。

自宅でできる、最初の一歩
道具は要りません。床か椅子に、楽な姿勢で座ってみてください。
背筋を少しだけ伸ばし、目を閉じるか、視線を床に落とします。鼻からゆっくりと息を吸い、吸った時間より少し長くかけて、息を吐ききります。これを5回ほど繰り返します。
次に、両手を組んで、息を吸いながら腕を頭の上にゆっくりと伸ばします。息を吐きながら手をほどき、腕を下ろします。肩や背中に痛みを感じたら、腕を上げる高さを低くして構いません。これを3回ほど。
それだけで十分です。終わったら、始める前と比べて、呼吸や肩のあたりに何か違いがあるかを、少しだけ観察してみてください。違いを感じなくても構いません。今日の体の状態を知った、というだけで、最初の一歩は踏み出せています。
何歳から始めても遅くないと私は思っています。今日が、これからで一番若い日です。そして体と付き合っていくことは、私にとって一生の課題です。その課題に向き合い始める日を、今日にしてみるのもひとつの選び方だと思います。
もし、年齢のことがまだ少し気になっているなら、それは自然なことです。周りについていけるか、自分だけ動けなかったらどうしようと考えると、最初の場に足を運ぶのはためらわれるものです。
最初の一回は、画面を見ているだけでも構いません。オンラインで、自分の家の中で、誰の視線にも晒されずに、ヨガがどんなものかを知ることができます。free-yoga-japan.com から登録できます。
画像: Pexels

