ヨガのウェアは何を選べばいい?専用ウェアが要らない理由と、自然素材という選択

暮らしとヨガ

「ヨガを始めてみたいけれど、まずウェアを揃えないと」。そう思って、検索画面を閉じてしまった人に向けて書いています。スタジオのサイトを見ると、専用のヨガパンツや、機能性の高いトップスが並んでいて、それを一式揃えてからでないと始めてはいけないような気がしてくる。けれど、そこで止まってしまうのはもったいない、というのがこの記事の入り口です。

結論から書きます。ヨガを始めるために、専用のウェアは必ずしも必要ありません。家にある、ゆったりした自然素材の服があれば、それで始められます。新しく選ぶ場合に推奨されるものはありますが、それは「動きやすさ」ではなく、別の基準で選びます。

専用ウェアが「いらない」とはどういうことか

まず、誤解されやすい部分を先に書きます。

「専用ウェアはいらない」というのは、「専用ウェアを買ってはいけない」という意味ではありません。すでに持っている人は使えばいいし、好きで選ぶのも自由です。ヨガウェアは美しい素材や色合いのものも多く、それを着ること自体が楽しみになることもあります。

ここで言いたいのは、もっと手前のことです。「ウェアを買わないと始められない」と思い込む必要はない、という一点。ヨガを始める準備として、まず買い物に行かなければいけないわけではない、ということです。

家にある服で、今夜から始められます。これが、最初のハードルを下げるための事実です。

それでも推奨されるものがある

「いらない」と書いた直後にこう書くと矛盾しているようですが、推奨されるものはあります。

  • 自然素材(綿や麻など)
  • ゆったりとしたシルエット
  • 体を締め付けないもの

逆に、避けたほうがよいとされるのは、体にぴったりと張りつくタイプのスポーツウェアです。これは「ヨガに向いていない」と否定する話ではなく、別のジャンルの運動には適している、という前提のうえでの話です。

なぜヨガでは、締め付けないものが推奨されるのか。次の項で書きます。

カラフルな布地の上に置かれた、くるりと丸めたヨガマット

「動きやすさ」より「触れていることを忘れられる」こと

スポーツウェアの利点は、動きやすさにあります。体の形に沿うことで、動作の邪魔をしない。これは確かに事実です。

けれど、ヨガには独特の性質があります。静止する時間が長い、ということです。

ポーズを取って、そのまま数呼吸とどまる。座って呼吸を観察する。仰向けで力を抜く。動きの最中よりも、止まっている時間の方が長いと言ってもいい。

この、止まっている時間に何が起きているか。意識が静かになるにつれて、肌の感覚が前景に出てきます。普段は気にならない、服が肌に触れている感覚、ゴムが当たっている圧、縫い目の硬さ。動いているときには紛れていたものが、静止すると目立ち始める。

ここで、締め付けるウェアと、ゆったりしたウェアの差が出ます。締め付けるものは「肌に何か常に触れている」状態を作りやすく、その感覚が静止の時間に意識を引っ張ります。ゆったりした自然素材の服は、触れていることそのものを忘れさせてくれる時間が長い。

これが、ヨガでは「動きやすさ」よりも「触れていることを忘れられる心地よさ」が選ばれる理由です。動的な運動ではなく、静的な感覚に向き合う時間として、ウェアの基準もそれに合わせて変わります。

なぜ自然素材なのか

自然素材が推奨される理由も、同じ流れで説明できます。

化繊が悪い、という話ではありません。化繊でもゆったりしたシルエットであれば、問題ない場合は多くあります。ただ、肌に長く触れるものとして、綿や麻のような自然素材は、肌当たりがやわらかく、温度や湿度に対する反応も穏やかであるとされています。

汗をかいた後の冷え方、空気を含む感じ、生地が体に沿うときの圧。こうした細かな差は、動いているときには分かりにくく、静止しているときに分かってきます。

ヨガの時間は、その「分かってくる感覚」と付き合う時間でもあります。だから、ウェアの素材も、その感覚を邪魔しないものが選ばれやすくなる。これが、自然素材が好まれる背景です。

ただし、これも絶対ではありません。家にある服を見渡して、ゆったりしたシルエットのものがあれば、化繊か自然素材かは二次的な話です。最初の一歩としては、まず「締め付けないもの」を選ぶだけで十分です。

ヨガの伝統と「白」という選択

少し余談として、色の話を書きます。

ヨガの伝統的な装束では、白系の色が選ばれることがしばしばあります。修行者や僧侶の装いに白が用いられてきた歴史があり、その流れの中でヨガの場でも白い服が選ばれることがあるようです。

白には、意識を散らす要素を減らす効果も考えられます。柄や強い色は、視界の端に入ったときに意識を引きますが、白系は背景に溶けやすい。静かな時間を過ごすうえでの、ひとつの選択肢として知られています。

これは「白でなければいけない」という話ではありません。好きな色があれば、それを着て構いません。ただ、もし新しく一枚選ぶ機会があれば、白系という選択肢があるということを、知識として置いておくと、選びやすくなることがあります。

森の中で麻のワンピースを纏い、木の近くに佇む女性

マットの話と重なる構造

ヨガを始めるときに迷う道具として、ウェアと並んでよく挙がるのが「マット」です。マットについても、必ずしも高額で専門的なものが必要なわけではない、という見方があります。

ウェアもマットも、構造としては同じことが言えます。

一般のイメージ 別の見方
道具 専用品が必要 専用品でなくても始められる
選び方 機能性・専門性で選ぶ 必要十分なもの・心地よさで選ぶ
始める前 まず揃えてから 揃えなくても始められる

両方を併せて考えると、ヨガを始めるための物理的なハードルは、思っているほど高くない、ということが見えてきます。買い物から始める必要はなく、家にあるもので、今日から試せます。

自宅でできる最初の一歩

今夜、もしくは明日の朝、試してみるとしたら、次のような順序で十分です。

  1. クローゼットを見渡して、ゆったりしたシルエットの服を選ぶ
  2. 締め付けるウエストや、ピタピタのトップスは避ける
  3. 素材は、できれば綿や麻などの自然素材を優先する
  4. なければ、化繊でもゆったりしたものを選ぶ
  5. 床にスペースを作って、その服のまま立ってみる

立ってみたときに、肌に触れている感覚が強すぎないか、呼吸が浅くなるような締め付けがないかを確認します。問題がなければ、それがそのまま、ヨガのウェアになります。

新しく買い足すのは、しばらく続けてみてから、「もう少し心地よくしたい」と感じたタイミングで構いません。最初の一着を選ぶときには、動きやすさよりも、触れていることを忘れられるかどうかを基準にしてみてください。

始める準備中の人へ

ウェアを揃えてから始めようと思っていると、始める日は少しずつ先延ばしになりがちです。買うものを決めるために情報を集め、サイズを迷い、届くのを待つ。その間に、最初に感じていた「やってみたい」という気持ちは、少しずつ薄れていく。

その流れを止めるために、ひとつだけ覚えておくとよさそうなことがあります。家にある、ゆったりした服があれば、今夜から始められる、ということです。

道具がなくても、運動経験がなくても、ヨガは始められます。むしろ、何もない状態から始めることが、ヨガの本来の姿に近いのかもしれません。

専用ウェアもマットも、まずは要りません。家にある自然素材のゆったりした服があれば、それで一歩目には十分です。オンラインで開いているクラスは、参加するために何も買う必要がない設計になっています。free-yoga-japan.com から登録できます。


画像: Pexels

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